君がくれたモノ
王は同情なんかではなく、蒼の本当の父親になりたかったのかもしれない。

「人々は動揺した。
‥当然の事だ。王家の血筋もない少年がこの国の権力を握る、その事に恐れたのかもしれない‥」

それから蒼は亡くなった王の後を継ぎ、新たな王としてこの屋敷に移り住んだ。

10歳で養父母を殺し、11歳で剣術士として働く、そして12歳で王の座に就く‥
莉奈には想像もできない世界だ。

「王の最期の頼みを受け入れるしかなかった。
彼はこんな俺を本当に大切にして下さった‥」

「アタシ‥
うまくは言えないけど、王様はきっと蒼が大切で大切で仕方なかったんだと思うよ。
誰もいなかったからじゃなくて、蒼に次の王様になって欲しかったんだね」

権力とか、難しい事は分からない。
でも、その王様がどれだけ蒼を大切に思っていたのかは伝わってきた。
莉奈はそんな蒼が、少し羨ましく感じてしまう。

「ありがとう莉奈。
だから俺はこの国の為に精一杯生きたいんだ。」

蒼は笑顔で莉奈にそう言った。


話しをしている途中、莉奈は頭に痛みを感じる。

頭痛‥
風邪でもないのに‥

急な頭痛が莉奈を襲う。

「いたたた‥」

莉奈は頭を抱えて屈み込んでしまった。


(莉奈‥莉奈!)
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