君がくれたモノ
莉奈の部屋を出ると、隣の蒼の部屋の襖が少しだけ開いている。

莉奈は少し怖かったが、その部屋に入ろうとした。

「イタッ‥」

廊下のあちこちにガラスの破片が落ちており、気付かずに踏んでしまい莉奈の足には血が滲んだ。


ガラッ!


痛さで屈み込んでいたその時、蒼の部屋から人が現れた。

「蒼!‥!?」

そこに立っていたのは蒼ではない。
短い髪の若い男だった。

「あいつの女か‥」

その男は冷めたような目で莉奈を見ていた。
莉奈は怖さのあまり何も言えなくなり、体が震えた。
その男が怖かったのもあるが、男の手には血を欲しがるように輝いた剣が握られている。それに目が‥本気だ。

「ち‥ちが‥違うよ!アタシ女だけど‥彼女とかそんなんじゃ!」

莉奈は動揺して何を言っているのか、自分でも分からなくなっていた。
男はそんな莉奈を見て口元だけで笑みを浮かべた。

「お前を斬ればあいつはどうするかな」

そう言って男が一歩ずつ近付いてくる。
莉奈は後ずさりした。
恐怖はもう限界だった。

「アタシを斬ったらって‥」

男は莉奈が怖がるのを見て、楽しんでいるかのようにゆっくりと近付いてきた。

「やめろ!令‥!」
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