君がくれたモノ
男の首筋に剣を突き付け、蒼が立っていた。

「ごめん莉奈‥遅くなった‥」

蒼は肩から血が流れていた。この男に切られたのだろうか‥
男は突き付けられた剣のせいで身動きを取れないでいる。

「令、この子は関係ないんだ。お前の目的は俺だろう?」

莉奈は話しが全く読めないでいる。


美形二人が揉めてる‥


なにやら変な想像をさせてしまうようなシチュエーションだ。

「俺がこの女を殺すと言ったらどうする?お前に俺が斬れるか?
あの時みたいに‥その剣で俺を斬れるのか!?」

あの時?
この二人は知り合いなの?


莉奈には理解できない会話が繰り広げられている。


ザッッ!!


男は、うまく蒼の剣を振り切り走りだした。
莉奈は映画を見ているような‥そんな気分にさせられる程の素早い動き。

「今日はお前を殺す気分じゃなくなった。
その女に感謝するんだな」

男は振り返って蒼に言い、走って屋敷を出て行った。


ガラスで切れた足が痛んだ。

「痛っ!」

男の出ていった後をずっと見つめていた蒼は、莉奈の声で我に返った。

「莉奈‥足ケガしたのか?見せてごらん。」

蒼は莉奈の足を持ち上げ、血の滲んだ足を布で巻いてやった。
莉奈は近くにいる蒼の肩が血まみれなのに気付き驚いた。
< 33 / 65 >

この作品をシェア

pagetop