君がくれたモノ
「蒼‥肩ヤバいって。
アタシより蒼の肩手当てしよ?」

莉奈の声に蒼から反応はなく、下を向いて莉奈の足に布を巻き付けていた。

「ねぇ蒼?」

莉奈が蒼の肩に手を触れると、微かに肩が震えている。


蒼‥泣いてる?


「令は‥俺の親友だったんだ‥」

震えた声でそう言った。
状況が把握できない莉奈は、蒼に何と声をかければいいのかが分からない。
ただ‥血の出た蒼の肩を抱きしめる事しか。
蒼は莉奈の胸で泣いていた。


親友だった人が何で殺そうとするの‥?
親友‥
アタシはあなたと親友だった?
ねぇ‥桜。


心の中で莉奈は桜に話しかけた。

高校で初めて桜と出会い、あっという間に二人は仲良くなっていた。
桜はいつも莉奈の事を考え心配してくれ、話し方は甘えたなのに莉奈のお姉ちゃんみたいだった。
莉奈が光と付き合う事になった時も、誰よりも喜んでくれた。

ずっと‥大人になっても親友でいたかった。


そんな事を考えながら、莉奈は蒼を連れて部屋へと移動した。
莉奈と蒼は、いつの間にか眠りについていた。
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