君がくれたモノ
「俺の事、あいつ莉奈に何て言ってた?」

照れ臭そうに令は【莉奈】と呼んだ。
呼ばれた莉奈も少し恥ずかくなる。
令は蒼が自分の事をどう思ってるのか気になるみたいだ。

「なんてって‥親友だったって言ってた‥」

「親友だった、ね‥」

令は少し鼻で笑いながらも寂しそうな顔をしていた。

「そうだよ‥何があったかわからないけど、親友とこんな事したらダメだよ!」

令の方に向き直り、莉奈は令の肩を揺らしながら言った。

「‥お前さぁ、俺に連れ去られてんの分かってる?」

「あっ‥」

すっかり忘れていたが、令の言葉でその事を思い出し令の肩を離した。
莉奈のその姿を見て、ため息混じりに令は呆れている。

「まぁ‥あいつが悪くなかったとしても、もうここまできたら引けない」

「え?」

莉奈は令の言葉の意味がわからない。


「絶対に引けないんだ」


令の真剣な顔は、まるで自分に言い聞かせるようだった。
その横顔がどこか寂しく、誰かの助けを待っているようにも思える‥
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