君がくれたモノ
ある日令は、いつもの様に買い出しに行かされている蒼の跡をつけた。

小さくて細いアザだらけの体‥


俺の剣であいつを救いたい。


いつからか令は、心にそう決めて生きていた。

「あいつは頭が良かった。俺が教えるとすぐに剣術を覚えた。」

昔の事を思い出すように、遠い目をしながら令は言った。

「だったら‥令は蒼を救ったんじゃない。なのに何で」

蒼の剣を教えたのは令だと知り、よけい分からなくなる。
そこまでして助けたかった相手を殺そうとするなんて‥

「それから俺ら親友になれたんだ。いつも‥どんな時も一緒に過ごした」

令の言う意味が、莉奈はまるで分からない。

「親友なんでしょ?だったら‥」

「もう今は親友じゃない!蒼は3年前、俺の恋人を殺したんだ!」


令は莉奈の言葉を遮るように叫んだ。

言葉が‥でない。


「凛はもう長くない病気だったんだ。それをあいつが‥刺し殺した」

「な‥なに言ってんの?」

何も考えられない。
予想外の令の言葉が胸に突き刺さる。
信じない、信じたくない。
あんなに優しい蒼が‥
よりによって親友の恋人を‥
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