君がくれたモノ
「俺が家に戻ると凛は死んでた‥蒼の剣を胸に刺して」

「やめてよ!」

莉奈は立ち上がっていた。

「莉奈が信じたくないなら信じなきゃいい。それが蒼を殺す俺の理由なんだ!」

令の顔は真剣だった。
目に涙を浮かべ、必死に耐えているようにも見える。

「俺は仕事で何人もの人間を殺してきた。けど今の狙いは蒼、あいつ一人だけだ」

もう、令を真っ直ぐ見る事ができない。


蒼‥本当なの?
蒼は本当に令の恋人を‥


しかし、いくら考えても莉奈は納得がいかない。

「ねぇ、理由はなんなの?蒼が令の恋人を刺した理由は?」

令が言った「絶対に引けない」その言葉と同じく、莉奈も引いてはいけない気がした。
今逃げ出すと、何も変わらない
そんな気がする。

真っ直ぐに令の目を見つめて聞いてみた。


「正直、俺もわからない‥」

「‥え?」

「ただ‥蒼の剣を刺して死んでいたんだ」

恋人のその姿を見つけた令は、蒼を殺す為に生きる事を誓った。

蒼の話しなど聞こうともせずに‥

「だったら‥どうして蒼が刺したって分かるの‥?」

「あいつとは3年前、久しぶりに再会したんだ。そしたら国の王になってた。王の座を得たあいつは俺を見下して凛を刺したんだ!」
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