あの時の約束
「俺が呼んで来る」
「お願いするわ」
「頼んだよ。慶時」
「うん」


「六組の副担の先生来てください。中庭で集合写真撮るので」
「良いね」
「全く仕方が無いわね」
「行くぞ」
「仕方が無いから言ってあげる」
「よっしゃ」



「皆呼んで来たよ〜♪」
「六組全員集合だ〜」
「久し振りに揃ったかも」
「並べ」
『はいー』


「ハイチーズ」
       カッシャ




「じゃあ十ニ年後会おう!」
「約束だよ」
「誰欠けない。このメンバでまた会おう」
「約束拳万嘘ついたら針千本飲ます…」
『指きった』




そして卒業式


「卒業証書授与」

「卒業証書授与される者……一組相島沙友里」
「はい」


「生野正紀」

「ニ組内麻千里」
「はーい」
「大海秀之」
「はい」

「三組押野奈未」
「はい」
「村山優海」
「はぁいー」



「四組宇妃優子」
「はい」

「吉菜党樹」
「はい」


「小山雄志」

記憶が読み換える。
思い出が読み換える。


「五組井下高広」
「はい」



「山田美明」
「はい」
「六組上野怜時」
「はい」

「門池大樹」
「はい」

「坂中和樹」
「はい」

「高池容矢」
「はい」

「田山真帆」
「はい」

「中出慶寺」
「はい」

「原田佳龍」
「はい」

「松中翔次」
「はい」

「山中初音」
「はい」

「吉沢真衣」
「はい」

「以上三十四名」
「賞状、代表を言う」
「代表は三年六組吉沢真衣」
「はい」

賞状を読み出した。
「おめでとう」
私は賞状を受けとった。

歌い出した。


私この学校に来て良かった。
こんな暖かい気持ちになって卒業するなんて初めて。
ありがとう真帆、怜時、初音、松中、大樹、慶寺ありがとう。
そして佳龍ありがとう。
今の自分になれたの皆のおかげです。

歌うと涙が出る。歌わなくても涙が出る。
自分の卒業式で泣いた事がない。
無表情でずっといた。中学生の時、皆の前で泣いた事がない。
あだ名が悪魔だった。
でも私泣いて居る。たくさん泣いて居る。
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