あの時の約束
「えっ…」
「やっぱりね。見てて判るもん」
「えっそうなの?」
「そうよ。真衣ちゃん恋する乙女て感じだよ」
「えっ」
「佳龍の気持ちも判るわ」
「そうですよね。だって佳龍のお母さんですもんね」
「何話してるの?」
「別に何にもないよ」
「何隠してる」
「隠して無い」
「気になるだろ」
「知らない〜♪」
「真衣ちゃん、佳龍の事頼むよ。佳龍のお嫁さんとしてだよ」
「えー」
「約束したんでしょう」
「えっうん」

「真衣ー」
「あーお姉ちゃん」
「久し振りやな。真衣」
「そうだね。お姉ちゃん」
「そちらは?」
「私の友達の原田佳龍だよ〜」
「初めまして真衣の姉の未空です」
「初めまして」
「真衣荷物持って来たよ〜♪」
「ありがとう」
「大阪駅に来たのはその為か〜」
「うん」
「ここでお別れだね」
「うん」
「また会おうね」
「うんまた会おうね」
「約束だよ」
「うん約束」
「真衣行くよ」
「うん」
「真衣行ってらっしゃい」
「行ってきます。お母さん」
「改札口まで送るよ」
「ありがとう」


「佳龍バイバイ。そしてまた会おうね」
「真衣バイバイ。また会おうね」
改札口を通り手を振った。
電車が来た。電車に乗った。
まだ皆が手を振っていた。
「佳龍、待ってるから〜デビューするまで待ってるから〜」
「うん」
私はまた手振った。見えなくなるまで手振った。

涙がこぼれ落ちた。
「真衣ハンカチで涙拭き」とハンカチを差し出した。
「ありがとう」
「真衣卒業おめでとう」
「うん」
もう社会人なんだ!
早いなぁー人生て。
楽しかったよ。佳龍と一緒に行って楽しかった。

だいぶん距離が空くね!
そう人生初めての長い距離。でもこれは私達をまた会わしてくれる。

長いけど待ってるから。また会える事信じてる。

佳龍が好きだからずっとずっと待って居る。
命尽きても待って居るから。
「絶対また会おう」と約束した。だから守らないとだめ。
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