雨、ときどきセンセイ。
だ、誰……?


声は出せない。
でも心臓が驚きのあまりバクバクいっていて、声を出さなくてもその音が聞こえるんじゃないかってくらいだ。

少し時間を置いてその心臓を落ち着けると、そーっと同じ小窓から覗いてみる。


「―――なんで…」


さっきよりも暗くなった廊下。
電気のついて無い音楽室に辛うじて照らす夕陽。

その赤く、蒼い光を静かに反射させているピアノ。

そこの椅子に腰を掛けて窓の外を見ているのは―――

真山センセイ。



なんで、こんなところにいるの。

だってセンセイは数学教師で。
別に吹奏楽とかの顧問でもない訳で。

だったら、どうしてこんなところに。


でも見間違いじゃない。
あの横顔は、真山センセイ。
しかも、昨日と――――あの雨のセンセイと同じような表情だ。

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