雨、ときどきセンセイ。

私はついその姿に見入ってしまって時間が経つのを忘れてた。

この時間の太陽はあっという間に沈んでしまって、完全に暗くなった音楽室にいるセンセイの顔は見えづらくなってしまった。


―――携帯!


センセイの顔が見えなくなったときに思い出した。
本来の用事を。


うー…センセイ、いつまでいるんだろう。
ていうか何してるんだろう…何を考えているんだろう。


どうしようもなくなって、私は落ち着きなくセンセイの様子を窺っていた。

その時、センセイが急に何かに気付いたような、驚いたような顔をして振り向いた。

それは私の方じゃなくてほっとした…のだけど、すぐにセンセイが立って向かう先を見て、またひやっとする。


ま、まさか…なんで…!


センセイが真っ直ぐと向かう先は音楽の時間の私の席。
そこに着くと机の中から私の携帯を取り出した。


私の携帯ぃーーーー!!



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