雨、ときどきセンセイ。

「で?」
「『で?』って……。弁解なしかよ」


完全にセンセイのペースになってしまった今、水越のさっきまでの勢いがない。


「吉井は、このままでいいのかよ」


そんな水越は今度は私に問う。


このままで……?

センセイとの関係がこのままでいいだなんて、満足なんて、してない。

だけど、水越が言ってるのはそういうことじゃないよね?


“センセイと香川先生の関係”


それについてのことを言ってるんだ。
ハッキリ知りたくないのか、と。

でも、答えはもうとっくに出てる。


私は迷いなくセンセイの目を見つめた。
センセイもまた、私の視線を受けて見つめ返してくる。

そしてセンセイがまた小さく笑う。


「結局、吉井が何を信じて、どう思うか。だろ? 俺たちが何を言ったって意味がない」
「それって、やっぱりアンタも吉井のこと」


ドクン、とまた緊張が駆け巡る。

水越のその言葉に、センセイはなんて答えるのだろう。


聞きたい。
けど、聞くのが怖い。


だけど目を瞑ることも、耳を塞ぐことも。
この場から逃げだすことも出来ずに私は息を止めていた。


「それを聞いて、お前、何か変わるのか?」


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