雨、ときどきセンセイ。
雨上がりの告白
『応援はしない。けど、そういう吉井がいいな……って思うのも本当だから』
水越はそう言い残して土砂降りの中、走って行ってしまった。
残された私はカバンから水玉柄の折りたたみ傘を出すと、それをぎゅっと握った。
少しの時間、その場に座って外を眺めてた。
……少し、雨が弱まってきたかな。
水越が出てった時が一番ピークだったかも。風邪、引いてないかな。
玄関の屋根部分から滴る雫が、次第にゆっくりとなってきた。
厚い雲が流れて行って、さっきよりは少しだけ明るく感じる。
あの水滴が、落ちたら――。
心で決めて、その雫に集中する。
少しずつ少しずつ、膨らんで行く透明な雫は、だんだんと重みを増して、今にも水たまりに吸い込まれそう。
瞬きするのを我慢して、私は願掛けするように見入る。
そして、一度だけ、短い瞬きをしたのと同時にその雫は重力のままに真っ直ぐと落ち、聞こえる筈のない水たまりと同化した音が私の耳に聞こえた気がした。
……よし、行こう。
それを合図に私は立って、外に出た。
傘がぎりぎり必要なくらいの降り方まで落ち着いた空模様。
そこに私は水玉模様を開いて歩いて行く。
向かう先は、あの場所。