雨、ときどきセンセイ。
プリントと職員室
*
翌日も良く晴れた朝だった。
「はよ」
廊下でそう声を掛けられてはっとした。
顔なんて見なくてもわかるはずなのに。
その声の主は、今の私の頭を支配している人ではないってことくらい。
だけど、あまりに頭の中が“彼”一色なせいか、つい幻聴のように、感違いをしてしまったんだ。
「…水越」
「なんだよ。まだ寝てんのか?」
男の人の声というだけで、今なら誰でもセンセイに思えてしまう程、私はどうしようもなくセンセイに捕われ始めてる―――。
「…寝てない」
「珍しくぼーっとしてっから」
「うるさいなぁ」
そんないつものように他愛ない会話をしながら教室に入る。
開放されたままの教室のドアをくぐると、すでに席に着いていたみっちゃんと目が合った。
その目は私に向けた後、私の後ろをついて入る水越に向けられる。
“梨乃に気があるよ”
度々言ってるくせに、今朝もまたにんまりとした顔でそういう視線を私に向けるみっちゃんに溜め息を吐く。
翌日も良く晴れた朝だった。
「はよ」
廊下でそう声を掛けられてはっとした。
顔なんて見なくてもわかるはずなのに。
その声の主は、今の私の頭を支配している人ではないってことくらい。
だけど、あまりに頭の中が“彼”一色なせいか、つい幻聴のように、感違いをしてしまったんだ。
「…水越」
「なんだよ。まだ寝てんのか?」
男の人の声というだけで、今なら誰でもセンセイに思えてしまう程、私はどうしようもなくセンセイに捕われ始めてる―――。
「…寝てない」
「珍しくぼーっとしてっから」
「うるさいなぁ」
そんないつものように他愛ない会話をしながら教室に入る。
開放されたままの教室のドアをくぐると、すでに席に着いていたみっちゃんと目が合った。
その目は私に向けた後、私の後ろをついて入る水越に向けられる。
“梨乃に気があるよ”
度々言ってるくせに、今朝もまたにんまりとした顔でそういう視線を私に向けるみっちゃんに溜め息を吐く。