雨、ときどきセンセイ。
*
私は一人、下校して行く生徒の波に逆らうように、階段を昇る。
廊下の匂い、上靴で蹴る階段の音、手すりのひんやりとした感触。
きっと、ただ浸って校舎を歩いていたなら、そんな全てのことに切ないような想いを抱いていたかもしれない。
タンッと階段を昇りきる。
今日はまだ昼だから夕陽が射しこんだりはしていない廊下。
そして向かう先は……。
「……絶対、あそこのはず」
そう独り言を呟いて、止めていた足をまた前へと踏み出した。
そして角を曲がる直前にガチャっという音が聞こえて私は反射的に身を隠す。
ドアが開閉する一瞬で、ポーン……というピアノの音が耳に届いた。
バタン、と扉が閉まれば、もうなにも聞こえない。
「誰……?」
誰かがあの重いドアを開けた。
廊下には誰もいないから、音楽室に誰かが入ったはず。
そして、ピアノの音も聞こえたから、教室にはふたりはいるはずだ。
身を隠していた角から、ゆっくりと頭を出して、その先を確認する。
やっぱりそこには誰も居なくて、私は静かにその“目的地”へと近づいた。
自分の行き先と、今聞こえてきた音の発信源が同じ場所。
私は小さな小窓からそっと覗いて中を見る。
私は一人、下校して行く生徒の波に逆らうように、階段を昇る。
廊下の匂い、上靴で蹴る階段の音、手すりのひんやりとした感触。
きっと、ただ浸って校舎を歩いていたなら、そんな全てのことに切ないような想いを抱いていたかもしれない。
タンッと階段を昇りきる。
今日はまだ昼だから夕陽が射しこんだりはしていない廊下。
そして向かう先は……。
「……絶対、あそこのはず」
そう独り言を呟いて、止めていた足をまた前へと踏み出した。
そして角を曲がる直前にガチャっという音が聞こえて私は反射的に身を隠す。
ドアが開閉する一瞬で、ポーン……というピアノの音が耳に届いた。
バタン、と扉が閉まれば、もうなにも聞こえない。
「誰……?」
誰かがあの重いドアを開けた。
廊下には誰もいないから、音楽室に誰かが入ったはず。
そして、ピアノの音も聞こえたから、教室にはふたりはいるはずだ。
身を隠していた角から、ゆっくりと頭を出して、その先を確認する。
やっぱりそこには誰も居なくて、私は静かにその“目的地”へと近づいた。
自分の行き先と、今聞こえてきた音の発信源が同じ場所。
私は小さな小窓からそっと覗いて中を見る。