雨、ときどきセンセイ。

センセイを真っ直ぐと見る。


「……どうして、香川先生と、ここに?」


そう言うと、センセイは目を丸くした。
そしてやっぱり小さな溜め息を吐いてから答える。


「……俺が呼んだとでも?」


呆れ口調のセンセイの心の内はなんとなくわかってた。
『そんなことくらいわかるだろ』っていう顔してるから。

確かにそんな風に思ったりしてないけど。

ただ、確かな“事実”として、センセイの口からちゃんと聞きたかっただけ。

だって、そもそもセンセイが説明してくれる風だったから聞いたのに。


私はセンセイの質問返しに小さく首を横に振って、口を開く。


「じゃあ、『生徒を巻き込んで』っていうのは……水越の、こと?」


前に水越が、香川先生から何かを聞いた、って漏らしてたのを覚えてるから。

それが具体的にどんな言葉だったかまでは知らないけど、前にセンセイの車に乗ったとか、一晩過ごしてたかも、とかそういう内容のことのはず。

それについて、センセイと香川先生の間でどんなやりとりがあったっていうんだろう。


「水越の性格は真っ直ぐだからな。まして“好きな女”絡んだ話なら盲目にもなりそうだ」


ぼそぼそとまるで独り言のようにセンセイが言う言葉に首を傾げる。


「それを利用するように、都合のいいことを吹き込んだんだろ」
「香川先生……?」
「まぁ、ある意味彼女も“盲目”になるタイプ、か」
「え……。香川先生って、水越に一体なにを……」


『都合のいいこと』って……気になる。


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