雨、ときどきセンセイ。

ジッとセンセイを見て、その返事を待ってるのに、センセイはなかなか口を割ろうとしない。


「……私も充分巻き込まれてると思うから、聞く権利はありそうだと思うんですけど」


不貞腐れたように私が付けたして言うと、センセイが態勢をドアから起こして私に一歩近づいた。


「……確かにそれは一理あるか」


足元に視線を落としてセンセイが言った。
そしてまた一歩、一歩、と私に近づいてくるセンセイにドキッとする。


「自分は俺と恋人だから」
「えっ……?!」
「俺に近づいてくる吉井の管理をちゃんとしろ、みたいなことだな」


び、びっくりした。
まさか、本当に一時でも恋人だったのかと思っちゃった。


「それと、俺たちが音楽室(ここ)や駐車場で二人きりで居たことを知って……」


センセイがそこまで話して止まった。
そして何か考え込んで、そのまま黙ってる。


「……センセイ?」
「いや。なんでもない」


「なんでもない」って、そんなわけないのに。
まだ、何か裏があるんだ、きっと。


そう思って私から一歩センセイに近づくと、ズイッと顔を寄せて問い質す。


「今日で卒業(最後)なんだから、絶対引きませんよ……?」


センセイは逸らしていた目をこっちに向けて、私を映しだす。

もう、本当の本当に最後なんだから。

だったら、我慢も体裁もセンセイの都合も、全部取っ払って。
やりたいこと、やるんだから。


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