雨、ときどきセンセイ。



若さ、なのかな。
それとも、持って生まれた性格?

あれだけ“あの日”は打ちのめされたと思ったのに。

数日経った今では自分でも驚くくらい、立ち直って、また、繰り返す。


“センセイは、雨の日は嫌いですか”


最近多い、数学の提出プリントの端の方にそんなことを薄らと書く。

それこそ、あの卒アルのプリントの次にこんな一文を書いたときはひどく緊張したし、怖かった。

それでも、『どうせあと3カ月』と開き直って突き進んだ。

毎日合わせる顔を見てると、やっぱりこのまま風化させることが出来ない気がして。


―――確か…その2度目の言葉はこんなだった。

“お昼って、いつもコンビニとか?”

今思えばなんでそんな質問だったのか…。
でも、核心を突くような内容も書けないし、でも何か、返事の来そうな…軽い質問を必死であの時の私は考えたんだ。

振り返れば、その質問のどうでもよさに、よく返事がもらえたな、と今思う。


“母さんの弁当味わえよ”


それは私の質問の答えにはなってなかったけど、それでも大きな収穫だった。

それから、私は調子に乗って、提出用プリントが手にある時には必ず何かを問い掛けるようにした。

たった数日のことだけど。
でも、そのおかげで気付いたことがある。

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