雨、ときどきセンセイ。

「…ここはこの公式をあてはめて…」
「ああ。ここで? なるなる~~!」
「本当、水越って“詰め”が甘いよね」
「うるせぃ」


水越が私の前の座席にまたがるようにしてガリガリとペンを走らせているのを見ていると、横から声を掛けられた。


「梨乃、お昼食べよ!」
「あ、みっちゃん」


その声の主はみっちゃんこと“谷川美知花”(たにかわみちか)。
同じクラス2年目で、唯一親しくしている友人。

別に他の女子と話をしない訳じゃないけど、行動を共にしたり、包み隠さず話が出来る友人となると、正直みっちゃんくらいしか私にはいない。


「じゃ、水越頑張ってー」
「…ちぇ」


私はガタッと椅子から立ってノートに向かってる水越をそのままにみっちゃんと教室を出た。


「…梨乃、相変わらず好かれてるね?」
「えぇ? ないない!」


廊下に出るなりみっちゃんがちらりと未だに私の机に向かっている水越を見て言った。

前からみっちゃんには言われてる。

“水越は私に気がある”って。

でも、正直私ははっきり言われた訳でもないし、水越をどうとも思わないから別に関係ない。


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