雨、ときどきセンセイ。
そんな風に話をする姿は、“センセイ”じゃなくて。
欲張りな私は、そんなセンセイを目の当たりにしたら、つい我慢が出来なくなっちゃう。
「…やっぱり、乗せて欲しくなった」
ねぇ、センセイ?
“自分と似ているから”って理由でもいい。
少しは周りより、センセイに近づいてる?
そしてそれを、ほんの少しでも、受け入れてくれてるの?
私の180度変わった言葉に、センセイはさすがに驚いた顔をして、空から私に目線を変えた。
だけど、お互いに、なんとなく。
なんとなく…言葉には現わせない感情が、心情が伝わるようで。
「ダメ」
「知ってる」
「じゃあ言うな」
「…もし―――もしも、雨が降ってて…傘がないって言ったら…?」
その後の会話もまるで台本があるかのように、すらすらと。
けど、最後の私の質問はまたセンセイには意外だったようで。
「…さ。もう帰る」
ここにきて、まさかの逸らされ方をしてしまって、私は縋りつくようにセンセイに手を伸ばしかけた。
「―――バス停、すぐだろ。それに時間まで、付き合ってくれる奴もいる」
「え?」
「今日も、そのつもりじゃないか? アイツ」