雨、ときどきセンセイ。

それから。

その雨は止むこと無く、放課後も相変わらず降り続いていた。

薄暗い空から落ちてくる雫をぼんやりと見る。


「あーあ。こんな日でも講習なんて、やる気しないなぁ」


みっちゃんはぶつぶつと言いながら、渋々他クラスへと別れて行った。

私は何をするわけでもなく、窓際に立って外を見続ける。


「帰んねぇの?」
「…水越」
「…傘、ないのか?」
「大丈夫。折りたたみのやつ持ってる。水越、今日の講習受けてなかった? みっちゃんはとっくに行ったよ」
「ああ。ヤバイな、遅刻する。…じゃあな」


そうして、なんだか名残惜しそうに水越は私から離れて行った。


罪悪感かな。
気にしてくれてるんだ。自分のせいで、私の様子が違うって。
別に水越のせいとか思ってないのに。

こんな雨の降り方だったかな。

静かで風がなくって。
降りすぎず、けど、傘は必要で。

でも、心なしか、あの日の方がまだ空が明るく感じた。


それは、単に今、自分が暗い気持ちだからなのかもしれない。


センセイに近付きたくて。
センセイをちょっとずつ知って。

そうしたらこんなに胸が痛い。

せめて、相手が全く知らない人だったらここまで傷を負わなかった。

同じ学校という場にいるのに、こんなにも私の存在は遠い。
…香川先生は近くにいられるのに。


だんだんと幼稚な思考になって嫉妬してる自分。

そのまま私は駐車場の見える、屋根付きの駐輪場へと向かっていた。

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