雨、ときどきセンセイ。

6限目もただ黙ってノートにペンを走らせているうちに終わった。

そしてまたやってくるのが、真山センセイ。


「特に連絡なし。以上」


相変わらず淡泊。
『以上』という言葉を合図に号令が掛かって教室内は一気に騒がしくなる。

教壇で女子にまた話しかけられている姿に視線を送っていると水越の声が聞こえた。


「おーい。終わったぞ。掃除できねぇから早く机下げろ」
「はいはい。珍しいね、真面目に掃除なんて」
「“珍しい”は余計だろ」


ほうきを持った水越が私の席付近を適当に掃いている姿を見て言ってやった。


「梨乃、帰る?」
「うん帰るー」


机をガタガタと引きずり終えた時にみっちゃんから声を掛けられて私は鞄を肩に掛けた。


「じゃね」
「おう」


水越に軽く挨拶をした流れで、私はしつこくも教壇に残るセンセイを見た。

…相変わらずみんな、攻める…。

そんなこと思って心で溜め息を吐きながらふいっと視線を前方に戻そうとした時だった。


――――目が、合った……?



< 7 / 183 >

この作品をシェア

pagetop