雨、ときどきセンセイ。
私は頭の動きを止めることが出来ずに、流れるまま進行方向に視線を向けた。
だから、もしかしたら、見間違い。勘違いかもしれない。
もう一度振り向く勇気もないし、みっちゃんは前歩いて行っちゃってるし。
―――でも。
でも、やっぱり絶対こっち見た。
私はほんの数秒のそんな出来事が衝撃的で、帰りもまた、みっちゃんの話を上の空で帰った。
バスを降りたらみっちゃんは地下鉄。
私は徒歩で帰宅する。
みっちゃんと別れて一人になって歩きはじめても、やっぱりあの時のセンセイの視線を思い出しては答えのないことを延々と考えていた。
…偶然かな。
たまたまあの女子集団から目を逸らした先に私がいただけ、とか。
そのセンが濃い。
だけど、引っかかる。
引っかかる程の、今まで感じたことのない視線だった。
私はそう感じた。
あの一瞬で、何かを訴えるような。
家の前までそんなことを考える私は、昨日から相当やられてる、と思ってひとつ長い息を吐いた。
そして気分を変えようと、何気に携帯の入っているポケットに手を伸ばす。
「―――ない……」