雨、ときどきセンセイ。
ヒタヒタと、普段は聞こえない筈の自分の足音が聞こえる。
あー…なんでもっと早く気付かなかったんだろう!
面倒だったけど、携帯拾われたりしたらやだし…。
私はそんなことを思いながら階段を上がる。
一度家まで帰ったのに、結局今居るのは学校。
忘れ物が携帯だっただけに、どうしても気になって戻ってきてしまった。
運動部は体育館でまだ活動しているっぽいけど、薄暗くなってきた教室にはほとんど生徒なんていない。
だから、余計に自分の足音が大きく聞こえて、電気も消えてる廊下が薄気味悪く感じてしまうから自然と息を潜めてしまう。
よりによって音楽室…
4階を目指しながらもう一度携帯の在り処を思い出していた。
確か昼休みまでは持っていたから、音楽の授業で机に突っ込んだままな気がして。
目的の音楽室のプレートが視界に入ると、少し足早になった。
そっとドアノブに手を掛けた時にドアの小窓から人影が見えた気がして咄嗟に手を離して私は影に隠れるように背を向けた。