† of Pupil~瞳の魔力
鞄をすばやく準備した、いつものように斜めがけのリュックを背負う幹が、僕のもとへやって来る。
昨日や一昨日のように、一緒に帰れないことを伝えようすると、
「賢一、この二日、一二三さんと一緒なんだって?」
先手を、取られた。
幹はなぜか、やや剣呑とした表情だ。
なんだろう。
いくら幼馴染みとはいっても、僕らはあまり互いを異性として意識したことはない。
僕が一二三さんとどれだけいようと、嫉妬されたりするようなことはないはずなのに。
そんな、ちょっとした自惚れを抱く。
「あのさ賢一、お願いがあるんだけどね」
「なに?」
「一二三さんには近づかないでほしい」
「は?」
「もう一回言おうか?」
「いや、いいよ。ただ、なんでそんなこと急に?」
「都合が悪いからだよ」
そう言い切った幹は、なぜか、さっきまでとは裏腹に笑んでいた。
なにかを楽しんでいるような笑顔じゃない。
自分にとってマイナスになってしまうなにかを隠すための、仮面のような笑顔だ。
そうちょうど、あの純さんのような。
昨日や一昨日のように、一緒に帰れないことを伝えようすると、
「賢一、この二日、一二三さんと一緒なんだって?」
先手を、取られた。
幹はなぜか、やや剣呑とした表情だ。
なんだろう。
いくら幼馴染みとはいっても、僕らはあまり互いを異性として意識したことはない。
僕が一二三さんとどれだけいようと、嫉妬されたりするようなことはないはずなのに。
そんな、ちょっとした自惚れを抱く。
「あのさ賢一、お願いがあるんだけどね」
「なに?」
「一二三さんには近づかないでほしい」
「は?」
「もう一回言おうか?」
「いや、いいよ。ただ、なんでそんなこと急に?」
「都合が悪いからだよ」
そう言い切った幹は、なぜか、さっきまでとは裏腹に笑んでいた。
なにかを楽しんでいるような笑顔じゃない。
自分にとってマイナスになってしまうなにかを隠すための、仮面のような笑顔だ。
そうちょうど、あの純さんのような。