† of Pupil~瞳の魔力
「そう。昨日、ヤツは六条賢一に『目』をつけられることを極端に回避した。なぜ? それは、ほんの少しであろうと、私生活を追尾されては正体がばれてしまうほど身近だから。それほど身近な人物となれば、限られてくる。彼の家族、あるいは」
「親しい関係にある友人」
「そう。つまり、お前」
カチン、という音がした。
大竹幹が。肩掛けリュックのベルトバックルを外したのだ。
顔を伏せた彼女は、ゆっくりと、ひとえを脱ぐかのように、リュックを下ろす。
「驚いたよ」
と、彼女はリュックから手を離した。アスファルトを教科書類の重みが叩く。
「ま、さ、か……あの発言と状況だけでそこまでの推理ができるなんてね。すごい想像力だよ。しかもきちんと筋が通ってる。そこまでの言及なら、冤罪だって着せられるね。あたしも推理は好きだよ? だけど、さすがに感服するね。必要素材を見過ごさない洞察力は、称賛するよ」
「褒め言葉は受け取る。けれど、その嘲りの眼差しは要らない」
「ふ、はは、さすがは昇華を続ける血筋だね。自尊心は強いみたい」
「親しい関係にある友人」
「そう。つまり、お前」
カチン、という音がした。
大竹幹が。肩掛けリュックのベルトバックルを外したのだ。
顔を伏せた彼女は、ゆっくりと、ひとえを脱ぐかのように、リュックを下ろす。
「驚いたよ」
と、彼女はリュックから手を離した。アスファルトを教科書類の重みが叩く。
「ま、さ、か……あの発言と状況だけでそこまでの推理ができるなんてね。すごい想像力だよ。しかもきちんと筋が通ってる。そこまでの言及なら、冤罪だって着せられるね。あたしも推理は好きだよ? だけど、さすがに感服するね。必要素材を見過ごさない洞察力は、称賛するよ」
「褒め言葉は受け取る。けれど、その嘲りの眼差しは要らない」
「ふ、はは、さすがは昇華を続ける血筋だね。自尊心は強いみたい」