† of Pupil~瞳の魔力
「ふふ、実を言うと、僕も風間さんもずいぶん前からこの周囲に張っていてね。いや、風間氏の『運命』にも左右されたのかな? それは不確定要素だけど、確実に言えるのは、君らの喧嘩は僕の箱庭で行われていた、ってところだね」
幹が苦笑していた。声の出ていない口が、嫌みだなぁ、とぼやいている。
気付いているのかいないのか、
「まったくね、君らみたいなのがいるから、僕ら教会の仕事は雑事が多いんだよ。粛正対象に挙げられないから、よかったね」
やおら、デュオは舞台俳優のように大袈裟、片手を背中、片手を胸に当てながらお辞儀をした。
「さあてそれでは、超常の隠匿者、世界の暗幕は、いつでも人外魔境とともに。仕事の締め括りを披露してあげようね」
その口がまた、
「――」
あの、聞き取れない言葉を発する。
途端、陥没、隆起していたコンクリートが、ひとりでにうねり始めた。
そこかしこに走っていた亀裂が接着され、ちぎれ飛んだフェンスがグラウンドから這い上がり、衝撃が伝わって割れていた窓ガラスが、アルミサッシへ吸い込まれていく。
金具のいかれた屋上のドアは綺麗にはまり、どこかへ吹っ飛んでいたネジが一瞬で差し込まれ、真輝さんの穿った大穴は、一階の天井から順々に埋まっていく。
幹が苦笑していた。声の出ていない口が、嫌みだなぁ、とぼやいている。
気付いているのかいないのか、
「まったくね、君らみたいなのがいるから、僕ら教会の仕事は雑事が多いんだよ。粛正対象に挙げられないから、よかったね」
やおら、デュオは舞台俳優のように大袈裟、片手を背中、片手を胸に当てながらお辞儀をした。
「さあてそれでは、超常の隠匿者、世界の暗幕は、いつでも人外魔境とともに。仕事の締め括りを披露してあげようね」
その口がまた、
「――」
あの、聞き取れない言葉を発する。
途端、陥没、隆起していたコンクリートが、ひとりでにうねり始めた。
そこかしこに走っていた亀裂が接着され、ちぎれ飛んだフェンスがグラウンドから這い上がり、衝撃が伝わって割れていた窓ガラスが、アルミサッシへ吸い込まれていく。
金具のいかれた屋上のドアは綺麗にはまり、どこかへ吹っ飛んでいたネジが一瞬で差し込まれ、真輝さんの穿った大穴は、一階の天井から順々に埋まっていく。