† of Pupil~瞳の魔力
まるで球状のテリトリーを持っているように、僕は視野を広げる。
それなのに、見つからない。
でも、
「昨日、訊きそびれたことがある」
一二三さんは、まさか、声の発生源を感知しているんだろうか。
まったく動じた様子がない。
「最近この付近で殺人が多発している。いいえ、躾のなってない、清々しく見せてその実、卑しく汚ならしい食事と言ったほうがいい。お前、……それについてなにか知っている?」
殺人……
その、あんまりにも物騒な単語に、つい眉をしかめる。
香澄姉さんが聞いたら絶対に、僕以上の反応を取るだろう。
それだけ僕の生活からは、殺人という単語は縁遠いものだった。
もっとも……僕がどういう形であれ、一二三さんを昨日殺したことが事実なら、いや事実なのだから、その言葉はひどく僕に接近してきたことになるのだけど。
それなのに、見つからない。
でも、
「昨日、訊きそびれたことがある」
一二三さんは、まさか、声の発生源を感知しているんだろうか。
まったく動じた様子がない。
「最近この付近で殺人が多発している。いいえ、躾のなってない、清々しく見せてその実、卑しく汚ならしい食事と言ったほうがいい。お前、……それについてなにか知っている?」
殺人……
その、あんまりにも物騒な単語に、つい眉をしかめる。
香澄姉さんが聞いたら絶対に、僕以上の反応を取るだろう。
それだけ僕の生活からは、殺人という単語は縁遠いものだった。
もっとも……僕がどういう形であれ、一二三さんを昨日殺したことが事実なら、いや事実なのだから、その言葉はひどく僕に接近してきたことになるのだけど。