† of Pupil~瞳の魔力
「やはり犯人はお前ね。光栄に思いなさい。東城の直系たる一二三が、お前に引導を渡す」
「それは、多いにご免こうむるね」
「お前に拒否権なんて、与えない」
背中しか見えない一二三さんの顔が、なんとなく、笑っている気がした。
その、突き出されている腕にちろちろと、赤いなにかがまとわりつき始める。
はじめ、一二三さんはミサンガなんてしていただろうかと、バカな考えをした。
が、次の瞬間、糸程度だったそれは、一気に野獣のような猛りを響かせ、炎へと成長した。
一二三さんが、炎を、腕に孕ませている。
それはまるで、昔の武将が装着した、籠手のようにさえ見えた。
炎の顕現に、狼人間の表情が、曇った。
厳つい獣面にすら明確に浮かんだそれは、焦り。
エン
「炎!!」
「っ」
そして一二三さんの咆哮が直後、右腕を覆っていた赤が集束した。
網膜を貫くような紅蓮の光線が、爆音とともに撃ち出される。
すさまじい余波が、背後にいる僕にまで伝わってきたのだから、これの標的になっている狼はよほどつらいだろう。
荒れ狂った風に舞う木の葉が、びしびしと僕の頬を掠めていく。
が――
「それは、多いにご免こうむるね」
「お前に拒否権なんて、与えない」
背中しか見えない一二三さんの顔が、なんとなく、笑っている気がした。
その、突き出されている腕にちろちろと、赤いなにかがまとわりつき始める。
はじめ、一二三さんはミサンガなんてしていただろうかと、バカな考えをした。
が、次の瞬間、糸程度だったそれは、一気に野獣のような猛りを響かせ、炎へと成長した。
一二三さんが、炎を、腕に孕ませている。
それはまるで、昔の武将が装着した、籠手のようにさえ見えた。
炎の顕現に、狼人間の表情が、曇った。
厳つい獣面にすら明確に浮かんだそれは、焦り。
エン
「炎!!」
「っ」
そして一二三さんの咆哮が直後、右腕を覆っていた赤が集束した。
網膜を貫くような紅蓮の光線が、爆音とともに撃ち出される。
すさまじい余波が、背後にいる僕にまで伝わってきたのだから、これの標的になっている狼はよほどつらいだろう。
荒れ狂った風に舞う木の葉が、びしびしと僕の頬を掠めていく。
が――