とびらをあけて~大人になる日~
「大きく、なったね。」


「あなたはだあれ?

ここは……そっか、ここは私の夢の中なんだね。

こどもの私が、最後に見る」


「……はじめまして。ぼくは扉の番人。

子どもたちが、とびらをあけて大人になっていく

そのお手伝いをする番人だよ。」


「扉の番人さん……? 

扉は……どこ?」


「それは君の中。 君がこの夢を見にきたのは、扉を探すため。

ぼくが一緒に見つけてあげる。おとなになるための扉を。」


「私、私おとなになりたくない!」


「……どうして?」


「だっ…て、なんかさー、こどもの方が気楽、っていうか。

とびらをあけたら一瞬でこどもからおとなに、なんて、

ちょっとわりきれないっていうか。

そんなこといきなりいわれても、っていうか。」


「もちろん、いきなりおとなになるわけじゃない。

だけど、大人になる事を受け入れる瞬間ってものは絶対にあるんだ。

この世に生まれた瞬間があるように、君が覚えていなくても。

ちゃんと生まれて来られたんだから、だいじょうぶ。

ちゃんと大人になれるよ。」



*~*~*~*~*~*

もんばんさんは、わらっていいました。

ちいさなおとこのこでした。

しょうじょは、このおとこのこをしっているようなきがしてなりませんでした。

あなたはだあれ?ときいたとき、

はじめまして、といったとき、

もんばんさんは、いっしゅんなきそうなかおをしたからです。

*~*~*~*~*~*
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