とびらをあけて~大人になる日~
もう一度、会えるから。
「もう一度、会えるから。

だからそれまで、ぼくのこと、忘れずにいてね。」


「場面が、変わった……また、遡ったの? 

今度は引っ越す前……たぶん何ヶ月も前なんだ。

あっ。転かされた。」


「え~ん。え~ん。」


「そういえば昔はいじめられっ子だったなあ。」


「でも君は強かったよ。

 どんなにいじめられても芯はすごく強かった。」


「そうかなあ?今だってほら、」


「きょうね、またおとこのこたちにおされてこけちゃったの。

なんであんなことするんだろうね。

あっ。でもだいじょうぶだから。なかないで。ね。」


「あれ、でも誰に向かって話してるんだろう。」


「ほ~らくまさん、あっぷっぷ~

いまっ。いまわらった!」


「無理しないでね。」


「うん。してないよ。」


「離れてても応援してるからね。」


「うん。わかってる。」


「そっか。

あの頃は、ぬいぐるみと、お話し出来ていたんだね。」
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