とびらをあけて~大人になる日~
ほんとうのキモチ
*~*~*~*~*~*
門番さんは、ちいさなちいさなこえでいいました。
*~*~*~*~*~*
「行かないで……」
「――え?」
*~*~*~*~*~*
こんどは、ちいさなちいさなこえさえだせませんでした。
こえをだしたら、ないてしまうからです。
かわりに、こころのなかでせいいっぱいさけびました。
*~*~*~*~*~*
「ぼくのことを、忘れないで……!」
*~*~*~*~*~*
いつもさみしい門番さんの、ほんとうのキモチ。
うけとめてくれたひとはいません。
いままで、ひとりも。
*~*~*~*~*~*
「今言わなくて、いつ言うのよ。ばかだな、私も。」
*~*~*~*~*~*
大人になれば、門番さんをわすれます。
みんな門番さんをわすれました。
だから門番さんは結局いつもひとりです。
それでも、門番さんはいつだって子どもたちに大人になってといいます。
誰にもきこえないように、ちいさなちいさなこえで行かないでとつぶやいて。
こころのなかでは、忘れないでとさけびながら。
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門番さんは、ちいさなちいさなこえでいいました。
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「行かないで……」
「――え?」
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こんどは、ちいさなちいさなこえさえだせませんでした。
こえをだしたら、ないてしまうからです。
かわりに、こころのなかでせいいっぱいさけびました。
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「ぼくのことを、忘れないで……!」
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いつもさみしい門番さんの、ほんとうのキモチ。
うけとめてくれたひとはいません。
いままで、ひとりも。
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「今言わなくて、いつ言うのよ。ばかだな、私も。」
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大人になれば、門番さんをわすれます。
みんな門番さんをわすれました。
だから門番さんは結局いつもひとりです。
それでも、門番さんはいつだって子どもたちに大人になってといいます。
誰にもきこえないように、ちいさなちいさなこえで行かないでとつぶやいて。
こころのなかでは、忘れないでとさけびながら。
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