泪澪泡沫

理想と現実は反比例するモノ



ふわふわ


長い間、夢を見ている気がする。


ふわふわ


まるで宙に身体が浮いているみたいだ



ふわふ…


「わ、わああああああ!?」



宙に浮いていた身体が落ちる、堕ちる、墜ちる、






「ッあ!?」

ガバッ、と私は起き上がる。
額に手をやれば、酷く汗をかいていた。

外は朝が近いのか空が白いでいる。時計を見れば、朝の4時。
辺りを見渡せば一面の白い壁。
十中八九病院だろう。


「…あれ?」

ふと可笑しい、と気付く。
目元を触れるも、変わった所は無い。


「目…何で、」


カシャン
「キャアァアアアアッ院長、院長…ッ」

看護婦の悲鳴に驚きドアの付近を見つめれば、慌てた様子の医師が此方に駆け寄ってきた。


「これは奇跡だ、その様子だと視力も回復しているね!?」

「は、はい…」


コクリと頷く。
医師は興奮したまま、ペラペラとどうでも良いことを言っていた。


私は視力が無くなる処か生死の境をさ迷っていたらしい。
目を潰した後、突然変な医者が難易度が高いのに素晴らしい手術をこなし、今に至る、と。


何てことだ。



「……ない」

「どうか、したんですか?」

ニコニコと気持ち悪く笑う医師に私は叫ぶ




「何て余計なことしたんだよッ」


目覚めて初めて瞳に宿したのは、驚きと焦り、そして強い憎悪だった。
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