紙ヒコーキ〜初めての告白〜
その子は空いている席に向かっていく。
さっきの空席…
この子だったんだ。
俺はその子の机の横に立って、花を差し出した。
『名札の隣につけてね♪』
目一杯の笑顔で渡した。
「ありがとうございます♪」
その子はニコッと笑って花を受け取った。
名札を見ると……
“中野 懍”
と書いてあったが……
俺はバカだったから、“懍”という漢字が読めなかった……。
それでも“中野ちゃん”と、名字だけ覚えた。
それが俺と懍との出会い。
きっと懍は気づいてなかっただろうけど…
俺が一目惚れした瞬間だった。
*