世界中を敵にしても君だけは離さない
女の少し怯えた声はレヴァルドの耳に心地よく響いた。鳥の囀ずりのように愛らしい声。
「俺は龍人族皇帝レヴァルド。今、お前がいるのは龍人族の城の地下牢。つまり龍人族の領域だ」
「龍人族……そんな……どうして……あっ!」
「何だ?」
「私の他に人はいませんでしたか?」
「お前一人だ。倒れていたと報告があった」
「そうでしたか……」
何故か女はホッとしたような顔を見せた。レヴァルドは女の僅かな動きですら目が離せなくなっていた。
「あ、あの私はローズと申します。人族です」
「ローズ……」
女……ローズは自分が名乗っていない事を思い出した。