俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
三組が、だんだん近くなる。走ったせいで乱れた呼吸を、整えながらも三組の前でりさを探す。
きょろきょろと、視線を巡らしていると、目を見開いて驚いているりさと、目が合う。
「りーさー!こっちこいよ!」
三組の窓を開けて、窓側にいるりさを呼んだ。もろ、嫌な顔をしたりさを見て、やっぱりこんな女は、りさだけだと確信する。
あんなあからさまに、表情に出しやがって。そんなとこも、りさらしいから、許してやるけど。
なんて、思った俺は、やっぱり重症で。
がたんと音がなると同時に、りさが椅子から立つ。それから、俺の前まで歩いてきて、眉をひそめた。
「勝手に呼び捨てするなって言ったよね?
あとさ、彼氏みたいなオーラ出すのやめてくんないかな」
相変わらず、冷たい。
「いいじゃねぇか、呼び捨てくらい減るもんじゃねぇ。
照れてんじゃねぇよ、りさ!」
ちょっと、冗談でそう言ってみると、りさは朝のように、また俺を睨む。
それが、また逆効果なんだよな。俺が、怯むと思ったら大間違い。逆に、そそられちまう。
「あのねぇ…だから!」
「彼氏みてぇなオーラだすなって?
それも、いいじゃねぇか。俺様みてぇな、彼氏いるなんて、幸せ以外のなんでもねぇだろ」
りさの言葉を遮って、べらべらと喋る。りさの視線が痛い。
だけど、俺は、そんな気の強いりさが好きだから、別に苦痛にもならない。
「は?幸せなわけないっしょ。
不幸だから、ばーか」
そう言うと、一限目始まるからさようならと、一言だけ付け足して、りさは窓側へと戻っていった。