俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
「おい、おっさん。
触んのやめてくんないかな?」
その手首を強く握り、鋭くおっさんを睨む。少し顔が強ばったおっさんは、私の手を振り払った。
「な、なに言ってるんだ、君は」
…とぼけるつもりか。どこまで、たちが悪いだろうか、このおっさんは。
「痴漢すんなって言っての、わかる?
まじ、おっさん低脳だね」
イライラする。自分のために、自分にマイナスになることは、上手く誤魔化そうとする奴は、嫌い。
甘く考えすぎだ、人生を。
「な、!生意気な小娘め…」
しまいには、逆ギレ?呆れる。本当に。
おっさんにキレていると、いつも降りる駅の1つ前の駅に、早くも着いている。
プシュー、とドアが開く音。それが鳴ると同時に、おっさんは、そそくさと出ていった。
「はぁ…」
うんざりする。
なんで、朝からこんなんだろう。もう悪いことは、起こらないといいんだけど。
なんて願いながら、また電車に揺られた。