俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
その夢の中の自分は、幸せそうだった。遥斗とりさが横にいたから。きっと、ただそれだけで充分なんだろう。
なんて、俺は夢の中。…だったのに。
「ちょっと!」
女っぽい声をしたやつが、俺を叩き起こそうとする。けれども、それを無視して寝続ける。
…邪魔すんなよ、マジで。いい夢見てたって言うのに。
「邪魔なんだよ、木島元樹!」
……もしかして。
女の声で、気が強くて、俺にも恐れない。
りさ…?なんて、期待して、まだ眠気の残る目を開ける。
「うおっ!りさ!」
いっきに眠気が覚めた。だって、本当にりさがいるから。それに、りさが初めて名前を呼んでくれた。
幸せに浸っている俺とは違って、りさは不機嫌な顔をする。
「どいてよね、座れないでしょ」
そう言って、俺に起き上がれと顎で指示する。相変わらず冷たい、りさ。
俺は、だるい体を起き上がらせて、りさの座るところを空ける。
「ちょっと、あんたの隣に座る気ないんだけど」
「いいじゃねぇか、俺の隣なんて、なかなか座れねぇぜ?」
そう言った後に、ぽんぽんと隣を叩いた。りさは、顔を呆れたようにため息を吐く。
今までの女なら、喜んで座ったのに。りさは、変わってる。本当に。