俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
「そこ、私がいつも座ってんの。
…わかる?だから、どいてくれない?」
いつも…って、もしかしてりさ、毎日ここ来てんの?けど、屋上でりさに会ったことねぇんだけど。
「なぁ、今何時?」
「はぁ?12時半だけど」
ベンチに座る俺を、立ってるりさが見下ろす。もう12時半か。
確かに会わねぇわけだ、俺は昼飯は屋上じゃ食わねぇし、りさが屋上にくるときには、もうここを出ている。
それにしても、下から見るりさも可愛い…なんて、思う俺。気色わりぃな。
「…なに。じろじろ見んな、キモい」
キモい、だと…?この俺に、りさが…キモいだと…?
「かっこいいの間違いだろ!」
そう思う。本当に。
けれど、りさは言った。
「それ、顔だけね」
……。
意外。…意外すぎて、言葉が浮かばない。
顔だけって言葉は、悪くとれば、性格がひねくれている。よくとれば、顔がかっこいい。
俺は、もちろんよくとった。
だから、今、すごく嬉しい。単純に。けれど、りさのせいで、調子が狂う。
顔なんて、生まれつきのものだけど、それでも自分を褒めてもらえたのには、変わりはない。
熱い。頬が手が心が。身体中が熱を帯びる。あぁ、惚れすぎだ俺。
りさに、惚れすぎてしまった。