俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
不良(りさSIDE)
(りさSIDE)
少し顔を赤くした木島元樹は、何やら固まっている。
かっこいいのは顔だけ、なんて言われただけで、舞い上がってたりして…。
なんて、まさかこの予想が当たっているとは、思ってもいなかったけれど。
「退かないなら、もういいや」
木島元樹が、ぼけっとしてるから、私は少し離れたところで昼飯を食べるために、座ろうとした。
…したんだけれども。
「おい、りさ…お前、地面に座る気かよ」
木島元樹は、私を引きとめる。
「そうだけど…なに?」
まるで、は?とでも言いたそうな顔。木島元樹は、かなり驚いたようだった。
「…俺の隣、座ればいいじゃねぇか。
地面より、よっぽどいいぜ?」
私からすれば、お前の隣より地面のほうが、よっぽどいいわ!
なんて、言いたくても言えずに、自分の中に封じ込む。
地面は、多少汚れてるけど我慢。
「はぁ…なら、変わってやるよ」
そう言って、ダルそうに立ち上がって、ベンチを空けた。そして、木島元樹が地面に座る。
「…なにしてんの?」
私が地面に座るって言ったのに…。
「なにって…ベンチ空けてあげたんじゃねぇかよ」
座り込んだ木島元樹は、私を見上げながら、胡座(あぐら)をかく。
意外と優しいんだ、なんて関心した。けれども、好きにはなれない。
空けてあげた。とてつもなく俺様。そこが、好めない。
「…女が汚ねぇ地面に座んじゃねぇ」
私から視線を外して、そう言った木島元樹。ぼそりと呟くように、言った。