俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
俯いたその顔からは、表情は伺えなかったが、耳が少しだけ赤い。
冷たい風が当たっているからなのか、どうなのかわからないけれど。
木島元樹の様子から、さっきの言葉は恥ずかしかったのだろう。
意外と可愛いところがあるもんだ。こんな不良にも。なんだか可笑しい。
笑いが込み上げてきて、思わず笑ってしまう。
「…なんだよ、りさ」
少し尖った口は、いじけているようにも見える。
「別に、なんでもないけど?」
まだ可笑しくて、笑いそうになるけど、頑張って我慢する。
「じゃあ、ここ座らせてもらうから」
空いたベンチに座った。
まだ、笑われたことに対して、納得いかない様子の木島元樹は、胡座をかいたまま、再び俯く。
そんなこと気にも止めず、私はお弁当を取り出して、昼食をとった。
けれど、屋上には沈黙が走る。話すこともないのに、木島元樹はずっと、私の座るベンチに近いところで、胡座をかいていた。
…どっかいけばいいのに。というか、どっかにいってほしい。