俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
木島元樹は言った。遥斗にアドレスを教えてもらった、と。
中学生のころは、あんなに嫉妬して、あんなに私を独占しようとしてくれていたのに、今では、あっさりとアドレスまでもを教えてしまう。
その現実が、苦しくて悲しかった。けれど、まだ遥斗が私の連絡先を、携帯に残してくれていると気づく。
それだけで、ただそれだけで幸せを感じる。
馬鹿みたい。本当に。遥斗が好きすぎて、狂っちゃったのかな。
「…ううぅぅ…っ」
涙は、とどまることを知らない。ぼろぼろと、溢れてシーツを濡らす。
今日、屋上で思ったことだけど、木島元樹と遥斗は、どこか似てる。
見た目は、少し違うけれど、くしゃりと無邪気に笑うところとか、意外に優しくて照れ屋なところとか。
木島元樹には、申し訳ないけど、遥斗と重ねて見てしまう。
ごちゃごちゃする頭の中を、整理するのに精一杯で、必死に考えて必死に忘れようとした。
けれど、忘れようとすればするほど、それは色を発する。
泣きつかれて、やっと落ち着く。布団に包まれて、真っ暗な闇の中。まるで、今の私のように。
それが、心をだんだん落ち着かせてくれる。気づいたときには、もう夢の中だった。