俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
それから、電車に揺られること、二分。学校前の駅についた。私は、いつもと同じように、この駅で降りる。
「あ、!はよーう!りさ!」
隣の車両から出てきた、この元気な女は永井志帆。みんな眠いというのに、志帆は、いつも無駄に元気。
なんか痴漢のことも忘れさせてくれそうと言えば、そうなんだけど…。悪く言えば、KY。
「元気ないねー、りさちゃーん!」
バシーン、と叩かれた背中が、若干ヒリヒリとする。
「あのね、私は眠いうえに、朝から散々な目にあったの…わかる?」
改札口を通りながら、志帆に問う。
…朝から最悪だった。本当に。こんな最悪な朝は、もう懲り懲りだ。
「そりゃ、あたしだってね!昨日3時まで起きてたから眠いし、朝も満員電車だったし!散々なんだからねー!」
私の隣を歩く志帆は、制服のうえに、羽織られたカーディガンに手を突っ込みながら、話す。
私なんか、眠いし満員電車だし、そのうえ痴漢にまであったし。
けど、志帆に痴漢に合ったなんて言えない。こんな陽気な志帆には、さすがに言いにくくて。
「…そりゃ、志帆も大変だね」
適当に返答しとく。