俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
確かなもの(元樹SIDE)
(元樹SIDE)
お腹が痛い。そう言って、保健室に走っていくりさ。
辛そうな顔をしていた。眉を歪めて、唇を噛み締めていて。
…そんなに、いてぇのか?
「りさのやつ、いきなり腹いてぇなんて、大丈夫か?」
「…まあ、女の子は体が弱いからね」
さすが、遥斗。女のことに関しては、いろいろ理解している。そのおかげで、遥斗はよくモテる。
遥斗は、りさの走っていく後ろ姿から購買へと、視線を戻した。
どのパンにしようかなんて、陽気にパンを選んでいた。遥斗は、迷っていた様子だったが、俺は迷っている暇はない。
「おばちゃん、これくれ!」
今、余っている中で一番美味しそうなパンを選んだ。
購買のおばちゃんに、りさからもらった500円から200円分を出した。
「200円丁度、確かにちょうだいしましたよ」
その言葉と同時に、俺の手にパンが置かれる。俺は、買ったパンを片手に
「遥斗!俺、りさんところ行ってくる!」
遥斗に、それだけ言って走り出した。ここから、保健室までは、そんなに遠くはなかった。
けれど、りさが心配で保健室まで、走る。廊下を歩いている生徒を、かわしながらも、保健室までの道のりを急いだ。