俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。



保健室の前までくると、なるべく静かにドアを開けて中に入る。



りさ、そう呼ぼうとしたときだった。




「…うっ…うぅ…つ」




……、泣いてんのか…?



俺は、足音を潜めた。ゆっくりベットに近づいて、りさがいるか確認しようとした。



けれど、そのベットに寝転がっている人は、布団に足から頭まで、布団にくるまっている。



グスグスと、鼻をすすっている様子からして、泣いていると察する。



……泣くほど、いてぇのか…?



男の俺には、女の痛みとか理解できない。どうすればいいかもわからず、その場にただ立ちすくむ。



遥斗なら、どうすんだろ。なんて、考えてしまう。遥斗は、女のことわかってるし、理解している。



頭をフル回転させて、考える。まだ泣き止まないりさを見て、やっと声を掛けようと、意志が固まったとき。




「…うぅっ…もっ…つら…っ」




りさが、弱々しく見えた。



あれだけ強気だったりさが、辛いと弱音を吐いて泣くなんて。



強く思った。守りたい、と。


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