俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
懐かしそうに笑う姉ちゃんは、幸せそうだった。羨ましい、心からそう思う。
「それで?元樹は、諦めちゃうの?その子を」
諦めるわけない。
なんで、諦めなきゃいけないんだ。
りさがほしいと、願ったばかりなのに。
「…んなわけねぇだろーが」
「それでこそ、私の知ってる元樹ね」
くすっと笑う。
「頑張るのよ、その子のこと、お姉ちゃんに早く紹介してね」
いたずらに笑う。
こういうところは、昔から変わっていない。社会人になった今でもずっと。
「ほらほら、話は終わったんだから、出ていきなさーい」
ぽんぽんと、俺の背中を叩く姉ちゃん。俺は、その手に押されて、姉ちゃんの部屋を出た。