俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
こんな不良と関わる気、さらさらない。まず、関わりたくもない。
「文句があるなら、さっさと言ってくれない?
…私、アンタと違って、遅刻とか受け付けてないんだよね」
授業も、ろくに出ない。規則破りは当たり前。
そんなやつと関わると、こっちの人格まで疑われるに決まってる。
「……くくっ!」
なにこいつ。なにが面白くて笑ってんの?
「文句なんざ、言わねぇよ
…くくっ、!やっぱ、おめぇ気に入った」
…は?気に入った?
なに言っちゃってんの、こいつ。
ざわざわとしていた玄関前が、しーんと静まる。みんなの視線が、こっちに向いているのは、当然こいつのせい。
「なあ、俺の女になんねぇか?」
ふっと笑ったこの不良の手が、固まる私に伸びてくる。少しゴツゴツとした手が、すっと髪を撫でる。
意外とイケメン。
…なんて、思ったりしたけど。
「絶対に無理だから、諦めてくんない?」
…舐めてもらっちゃ、困る。イケメンだからって、コロっと堕ちちゃうような、そんな女とは同じにしないでほしい。
そんなんで、堕ちるほど安い女じゃないんだから。