俺様ヤンキーと切ない恋の途中で。
初恋(元樹SIDE)
(元樹SIDE)
俺に勢いよく背を向け、走り出すのは、可愛い顔してんのに人一倍頑固な女、大塚りさ。
「久しぶりにおもしれぇじゃねぇか」
一度決めたら、逃さない。絶対、惚れさせてやる。なにがなんでも、俺のもんにしてやる。
「ねえ元樹、まさか…りさちゃん、本気?」
どこからともなく出てきたのは、中学のときから、つるんでいる猿長遥斗(サルナガハルト)
オレンジ色に近い明るめの髪色に、だらりと下げられた腰パン。
シンプルなネックレスが、首から下げられていて、腕には色違いのシリコンバンド。
「…本気に決まってんだろ」
どこから見てたのか、わからないけど、遥斗がさっきの一部始終を見ていたのは、確かだ。
今まで、遊び呆けていた俺が、本気なんて言ったせいで、遥斗は固まる。
「え…?頭でも打っちゃったの?元樹ぃぃいいい!」
俺の肩を掴んで揺さぶる遥斗。
…俺が本気になるっつーのは、そんなに可笑しいことなのか?
「頭なんざ、打ってねぇよ」
「じゃあ、どうしちゃったのさ~!
元樹ぃぃいい!なんでりさちゃんなの!?」
びっくりしすぎて驚きを隠せない遥斗は、目を見開いている。
ついてけねぇ、こいつのテンションには。うるせぇやつだ。