すいそう

 そういえば、あの子いないね。グループで話していた女子の一人の声が、そこだけ綺麗に切り取られて意識の中に飛び込んできた。そういやそうだね、この時間にはいつもいるのに。そう言ったショートカットの女子が不思議そうにあの子の席を見ていた。あ、もしかしてあれって本当なのかも……。不安を含んだ声が体中に響く。え、何したの? 僕の心の声と重なる。なんかね、あの子――
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