斜め上75度の景色。
「ちょっ、次郎早い!」
「あ?これぐらいいつも部活で走ってただろ?」
「もう、あたしは引退したんだから無理だよ!」
「あー…雛子も、もう歳だな」
「あんたよりたったの1つ年上なだけだから!そんな同情するような表情するな!」
息切れしつつも、走りながらギャーギャーと言い合うあたしたち。
なんだか、引退前に戻ったみたいだ。
「お、着いたぞ」
「ハァハァ…」
高校から1番近い海。
「……冬の海って、なんだか綺麗で切ないね」
「…」
ゆっくり掴まれていた腕を次郎から解くと、海に近づいて海に手を突っ込む。
「うわっ…やっぱり冷たいな」
「バカ、当たり前だろ」
次郎も呆れた顔をして海に近づく。